プロベート回避のための信託利用

香港資産の相続:プロベート手続きと遺言

香港法では財産所有権に関して、所有者が香港居住者であっても非居住者であっても同じ法律に準拠することになります。所有者の国籍も無関係です。相続の際も同じで、18歳以上の所有者であれば所有権の委譲に関する制限はありません。

香港では遺産の承継には必ずプロベートという手続きが必要で、その手続きは故人(被相続人)の遺言がある場合とない場合とで大きく分かれます。有効な遺言がある場合においては、その遺言に従い資産承継の手続きが取られます。無遺言相続で遺産が不動産の場合は香港法に従い、動産については、故人の住居地所管(英語でDomicile(*))における法律に準拠します。裁判所からは故人の住居地所管における法律証明が求められます、一般的にこの証明は故人の住居地所管の弁護士による宣誓供述書にあたります。香港における住居地所管の概念は複雑で、住居地(Domicile)は住所(Residence)とも異なります。住居地はその個人の出生地によって決定し、出生地とは異なる定住地を選択したときにのみ住居地が出生地から定住地へと変更します。

(*)住居地(英語でDomicile、読み方はドミサイル)は、永住地やその国に定住する意思のあるものという意味で、英国をはじめとするコモンローの概念になります。

宣誓供述書は所定の書式に従い作成し、プロベート裁判所へプロベート付与の申請を行います。その際には故人の死亡証明書(Death Certificate)および出生証明書(Birth Certificate)の提出も必要です。香港外で発行された書類には英文認証作業が必要です。書類発行国がハーグ条約に加盟している場合においては書類署名および書類発行機関に対してアポスティーユ認証を受ける必要があります。

相続手続きは高等法院の部署の一つである遺産承弁署(Probate Registry)と呼ばれるプロベート裁判所によって行われ、香港に住居地を持つ故人の香港遺産のすべておよび、香港に住居地を持たない故人の香港資産に全てに関しても遺産承弁署にて扱われます。遺言は故人の死亡日から有効ですが、故人の代理人は相続手続きを踏む前にプロベートの付与(遺言がある場合)または遺産管理人の付与(遺言がない場合)を裁判所より受けることが必要です。

例外として、以下の国や州にてプロベートや遺産管理人が付与された場合は香港にて再付与の手続きは必要ありません:オーストラリア(タスマニア州、ビクトリア州、南オーストラリア州、ノーザンテリトリー)、ニュージーランド、シンガポール、スリランカ、英国。

プロベート手続きには時間がかかることが問題視されており、プロベートが下りるまでに1年以上かかることも多くあります。特に、故人が香港に住居地を持たない外国住居者である場は長引きます。よって相続税などの支払いに支障をきたす場合もおきるため、プロベートを回避する方法として資産を法人名義で取得・保持する、または信託を設立し信託名義で資産を取得・保持することが最良の選択となります。(法人株の遺産相続手続き(プロベート手続き)は、法人の設立国にて扱われます)

香港法では遺留分は認められていません

香港には遺留分制度はありません、しかしながら香港資産に対して香港外の司法管轄に居住する相続人により申し立てられた遺留分に対しては、香港のプロベート裁判所にて遺留分を検討することがあります。遺留分を申し立てる相続人は香港の裁判所に申し立てる必要があります、裁判所が承認するか否かは別として、技術的に遺留分を申し立てることは可能です。それに対し、信託された資産に対しては遺留分は効きません。ゼットランドでは信託などのストラクチャーの構築や遺言執行人としてのサービスも提供していますため、ご相談ください。

遺言と信託

遺言がない場合は遺産分割の規約が適用されます。そのため故人の意図を遺産分割に反映するためにも弁護士へ依頼し遺言を残されることが望ましく、遺言のみではなく信託の活用と合わせることによって故人の意図をより強く相続に反映することが可能です。作成された遺言は遺言者と2人の証人によって署名されます。証人は18歳以上の自然人であればだれでも構わず、また香港居住者以外でも構いませんが、相続の利害に無関係である個人を証人として選択されることが望ましいです。

遺言は香港で書かれたもの、または香港以外で英語で作成された遺言のどちらも有効です。よって、他に英文遺言がある場合は香港で別途に遺言を作成する必要はありませんが、相続手続きをスムーズに行うためには香港にて遺言を残しておくのが確実です。香港で書かれた遺言は他の国の資産の際の相続手続きにも有効です。

尚、香港以外の司法管轄外で作成された遺言は、故人が亡くなった時点または遺言が作成された時点のいずれかにおいて、故人の居住地や国籍を有する国での作成された遺言のみが有効です。

生存中の資産の贈与や売却

資産に対して契約的制限や条件がない場合において、香港の資産所有者が生存中に資産の贈与や売却を自由に行うこと、また死後に遺言によって行うことが可能です。香港では相続税や贈与税はありません。

無遺言の相続について

無遺言における資産分割は家族構成によります。

  1. 故人に配偶者がいる場合
    1. 配偶者がいるが、子、親および兄弟のいずれもいない場合は、配偶者がすべての遺産を相続します。
    2. 配偶者と子供がいる場合、配偶者はHK$500,000を相続する他、HK$500,000を控除した残りの半分を相続します。残りは子供が18歳に達した時点で子供が相続します。
    3. 子供がいなく、配偶者と親または兄弟のみがいる場合、配偶者はHK$1,000,000を相続する他、HK$1,000,000を控除した残りの半分を相続します。親又は兄弟は残りを分割して相続します。
  2. 故人に配偶者がいない場合は、子、親、兄弟、おじ・おば等の順位で相続します。法定相続人が存在しない場合は、遺産は香港政府に帰属します。

    故人が香港に住居地を持たない外国住居者の場合で、香港にある資産がすべて不動産で無遺言の相続の場合は、香港の法律に準拠して遺産分割が行われます。遺産管理人の付与は、無遺言の際の法定相続人の順位と同じ順位で付与されます。

    故人が香港住居者ではない場合において、香港以外で付与された遺産管理人を認めることも可能です。その場合は、遺産管理人の故人の住居国における弁護士が作成する宣誓供述書にその内容を盛り込むことが必要になります。

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