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Japanese Newsletter December 2021

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本特別号ではBVIでの経済実体要件、ベリーズでの法人課税開始、及びセーシェル法人に新しく課せられた会計義務についての記事をお届けします。

オフショア法人と聞くと、カリブ海に簡単に安く設立された非課税で秘匿の法人で、「節税」に使えるという案がひと昔前は思い浮かんだかもしれません。それが現在ではCRS(共通報告基準)で税務情報が国同士で自動的に交換されるようになり、またオフショアでは数年前から経済実体要件というのが始まり、オフショア現地にて実体を持つことが求められる事業が9つ出てきました。実体を持つというのはつまりペーパー会社ではだめという意味です。

オフショア(国外)というのは、オンショア(国内)ではないという意味のため、正確に言うとオフショア法人は国外法人の全てが当てはまるのですが、一般的には現地における法人税が非課税の法人のことを指しています。それに対してミッドショアというのは香港やシンガポールのような、法人税非課税ではないが低税の国をさしており、ミッドショアのミッドというのは「中間」という意味から、税制やコンプライアンス基準がオフショアとオンショアの間に位置する国で設立された法人のことを一般的に差しています。

そしてミッドショアはペーパー会社も珍しくないですが、オフショアと違い実際にそこにオフィスを構え人を雇うことができます。つまり法人として実体をもち、経費も現地に落すことができ、交通や人員や金融サービスなどのインフラも整っています。それに比べ世界の経済大国からアクセスもよくない小さな島国が多いオフショアで実体を持てというのは、不可解な感じもします。

BVI諸島、ケイマン諸島、バミューダ、バヌアツ、ガンジー諸島、ジャージー諸島、マン島で設立された国際事業法人(IBC)、つまりオフショア法人では経済実体要件が既に始まっています。そして今回、新しくベリーズではTIN(法人税務番号)の取得と確定申告が始まり法人納税義務が始まりました。といっても条件があり、法人所得が年間USD37,500以下の場合は非課税です。(詳しくは、今回の記事をご参照ください)

そして今回もう一つの記事でとりあげているのがセーシェル法人で、せ―シェルでは経済実体要件や確定申告及び納税は始まっていないものの、会計基準が変更し、全てのセーシェル法人において2015年1月1日から2021年12月31日までの会計記録(Accounting Record)7年分を現地に提出・保管すること、およびその期間のFinancial Statement(財務諸表)の作成・提出・保管が義務づけられました。更に、2022年以降は会計記録(銀行明細書やインボイスなどの取引書類)は半年に1回の頻度で現地代理店へ提出・保管が義務づけられました。

これは、経済実体要件を先に始めたBVIやケイマンよりもかなり厳しい要件です。というのもBVIなどの経済実体要件は、9つの事業(銀行、保険業、ファンド運用、融資、航空などを含む)に当てはまらないオフショア法人にはほとんど影響しないのに対し、セーシェルの場合は、純持ち株会社でしかも年間売上高がUSD3,750,000以下の法人以外は全ての法人において新しい会計要件が課せられるようになるからです。(詳しくは今回の記事をご参照ください)

今までキチンと毎年会計準備をされてきたセーシェル法人においては今回の新要件は問題ありません。今後の法人維持コストが多少上がりますが、対応可能です。そうでない法人において、会計記録(取引書類)をきちんと保管してこなった場合においては、提出及び財務諸表の作成を過去7年においてさかのぼって行うのは難しいかと思われます。

セーシェルなどのオフショア国のほとんどでは他国に法人国籍を移すことも可能です。ただし、移籍するにしても先に新しい会計要件を満たす必要があるという点でも大変厳しい要求です。

オフショア法人はまだまだ利用性が高いですが、以前のように「簡単に安く維持できる」という時代ではなくなってきています。

また、オフショアにおいては「Change is the only constant」つまり「変化こそ不変」という言葉がまさに当てはまる通り、ものすごい勢いで変化しています。それに比べ、最初から会計・監査・確定申告・納税が義務づけられている香港やシンガポールのようなミッドショアの変化はほぼありません。

また直近では法人税最低税率15%など新たな国際課税ルールを設けることが決められました。これが今後どのようにオフショア法人に影響してくるかは現時点ではなかなか読めませんが、香港では既に法人税は16.5%、シンガポールでは17%で決まっています。香港では一定の収入以下の場合は8.25%と低く、シンガポールでも多くの優遇制度から実行課税率は17%より低い場合もありましたが、今後も16.5%及び17%のラインが維持される見通しには現在のところは変わりありません。

よって、業界では今後はミッドショアが流行ってくる見通しもありますが、どうなるのでしょうか?

ゼットランドでは、ミッドショア、オフショアにおける法人や信託などの設立・管理・運営サービスを幅広く行っております。今回の新要件に影響される恐れのある方は、是非ご相談ください。

ご相談は日本語で intray@zetland.biz まで。

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